画像生成するときに最も気になることと言えば著作権という人が多いでしょう。
商用利用はもちろん、画像生成したものをSNS上にアップロードするときも著作権に気を付ける必要があります。
便利な画像生成ですが、守るべきルールを守らないとトラブルの元になります。
この記事では画像生成の際に、著作権で気を付けることについて解説します。
目次
Stable Diffusionは著作権を主張していない
そもそも、生成された画像の著作権は誰のものなのでしょうか?
著作権についてはStable Diffusionの「CreativeML Open RAIL-M」というライセンスで定められています。(CreativeML Open RAIL-Mの原文はこちら)
そのライセンスでは、出力された画像についてはStable Diffusionが権利を主張しないとされています。
つまり、基本的には画像を生成した人がその画像を自由に利用できます。
だからといって、著作権を一切無視して利用しても良いということではありません。
それではどういったケースの時に著作権を考慮する必要があるかを解説していきます。
著作権を気にするべき場合
AIで生成した画像の利用目的が以下のような場合は著作権に気を付けましょう。
画像の利用目的
- 画像を商用利用する場合
- 画像を自分のSNSアカウントにアップロードする場合
商用利用は当然ですが、SNSにアップロードする場合も注意が必要です。
企業や組織が運営するSNSだけでなく、個人アカウントでSNSにアップロードする場合でも不特定多数の人が見れることには変わりないからです。
なので、私的利用の範囲を超える場合は個人であっても著作権をチェックする必要があります。
私的利用なら著作権を気にしなくてOK
AI画像生成に限った話ではありませんが、私的利用の範囲内ならそもそも著作権を気にする必要はありません。
著作権法でも次のように定められています。
著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
著作権法第三十条
要約すると「私的利用のためなら複製してもいいですよ」ということです。
たとえば、個人での鑑賞用や家庭内のような限定された範囲だけでAIの画像生成を利用するケースが当てはまります。
複製についてもっと具体的な例で言うと、テレビ番組の録画が挙げられます。
テレビ番組にも著作権がるので、録画するということは複製ということになります。
ただ録画したものを個人で鑑賞するだけなら全く問題ありません。
しかし、録画したテレビ番組をそのままネット上にアップロードすると、それは著作権侵害になり得ます。
AI画像生成も同様で、限られた範囲内の利用なら著作権を気にしなくてもよいということです。
AI画像生成の著作権の注意点
それでは、具体的な著作権の注意点を見ていきましょう。
注意点は以下の3つです。
AI画像生成における著作権の注意点
- モデルにライセンスが付与されているか
- モデルやLoraの作者が商用利用を許可しているか
- img2imgで画像生成する場合、その画像元
順番に見ていきましょう。
モデルのライセンスをチェックする
civitaiのモデルでのライセンス確認方法を解説します。
モデルのページを見て、「CreativeML Open RAIL -M」または「CreativeML Open RAIL++-M」というライセンスが表記されていればOKです。
例として、下記の画像のようなイメージです。
Anything V3の場合は「CreativeML Open RAIL -M」のライセンスが付与されています。
SD XLの場合は「CreativeML Open RAIL++-M」のライセンスが付与されています。
個別の利用制限について
ライセンスが付与されていても、個別で商用利用に制限がかけられている場合があります。
その場合はその制限に従って利用しなければなりません。
Arthemy Objectsというモデルを例に見てみましょう。
このアイコンをクリックすると下記のような説明が表示されます。
「Use the model without crediting the creator」にバツのマークがついています。
これを直訳すると「作成者のクレジットを表示せずにモデルを使用する」という意味です。
つまり、このモデルを使用した画像を公開するときは、モデルの作者がわかるような表記も一緒に必要ということです。
このようにモデルそれぞれに個別で著作権に関する制限がかかっているので使用の際は必ずチェックしましょう。
img2imgで画像生成をする
img2imgは画像をもとにして画像を生成することです。
プロンプトを入力して画像を生成するのはtxt2imgと呼ばれます。
img2imgの何が問題になるかというと元となる画像が商用利用を認めていないケースです。
たとえば、アニメのキャラクターの画像を無断で利用したり、現実に存在する著名人の画像をそのまま利用するケースです。
AI画像生成の著作権にはあいまいな部分もある
2023年12月現在、AI画像生成の著作権についてそれほど厳しい制限がかかっているわけではありません。
基本的には自由に画像生成はできても、今後法律が変わることは十分考えられます。
AI画像生成の歴史はまだ浅いので、市場の動きに合わせて徐々に法整備がされていくでしょう。
突然AI画像生成に大きな制限がかかる可能性は低いものの、AI画像生成をするのなら今後の法改正の動向は把握しておくべきです。
まとめ
AI画像生成の著作権について解説しました。内容をまとめると以下の通りです。
まとめ
- 私的利用の範囲内なら自由に利用できる
- 商用利用をする場合は、モデルやLoraの著作権をチェックする
- img2imgでの画像元の著作権に注意
- 著作権について最新のルールを把握しておく
AI画像生成独自の著作権についての決まりごとは、モデルやLoraに関することと、img2imgに関することです。
それ以外については、一般的な著作権のルールとほぼ同じです。
今後の法整備にも気を付けつつ、画像生成を利用していきましょう。